治療
診断
日本での「てんかんの外科手術症例数」は諸外国の2分の1以下に過ぎません。患者数も先進国の平均を大きく下回っています。これらの事から日本人に「てんかん」は少ない!! では有りません。
てんかん患者が他の疾病も患っている場合、医師はてんかんだから大丈夫。(てんかん発作は一時的な物なので)で他の疾病の方を優先し、通常てんかん患者としてではなく他の疾病患者として扱います。
なので、てんかんは適切な治療を受けていない。でも、患者はてんかん発作で困っている。と言う可能性も専門医からは指摘され、本来手術で治るはずのてんかんも治っていない可能性があります。
これらの事から、日本の少ない「てんかん患者数」と「てんかん外科手術症例数」は、てんかんを持つ人にとって発作が止まる事がどれほど重要なことなのか、社会に十分な理解が行き届いていない事を示す数字なのかもしれません。
専門医で
てんかんの診断は、専門医以外の医師では往々にして診断を誤る確率が高く、特に発作初期は診断が難しいようです。患者にとっててんかんと言う診断は、身体的・精神的にも、また、社会的・経済的にも重要な意味を持ちます。
なので、臨床専門医やてんかんの持続的な診療を続けている医師、及び、しかるべきトレーニングを受けている医師によって診断なされるべきです。
診断にはまず、目撃情報が重要です。医師の前で発作が起こる事はまれで、以下の事を目撃者は正確に医師に伝えてほしいそうです。
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発作が起きた状況、時間
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発作の持続時間
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意識は保たれていたかどうか
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歩きまわったり、舌をナメるような、普段はしない異常な行動があったかどうか
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震えは左右どちらから始まったか?
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突っ張った姿勢なのか、両手足ががくがくしていたのか?
その目撃情報をもとに検査を行うようです。
てんかんと見誤りやすいもの
小児
熱性けいれん、息止め発作
軽症下痢に伴う発作
睡眠時のぴくつき、悪夢
かんしゃく
チック症状
失神
心因発作
急性代謝障害(低血糖、テタニー)
成人
失神
心因発作
脳卒中(脳梗塞、脳出血)、脳虚血発作
不整脈発作
頭部外傷
急性中毒(薬物、アルコール)、薬物離脱
急性代謝障害(低血糖、テタニー)
急性腎不全
検査
脳波検査
てんかんの診断において一番重要な検査です。頭に電極をはって、脳の電気信号を抽出する検査で、痛くもかゆくもなくもありません。場合により、脳波の乱れを誘発して変化を見るために、目の前にチカチカ光を当てたり、息をハアハアと荒くするよう指示があったりします。
画像検査
脳腫瘍、脳出血、脳梗塞、脳挫傷などがないか調べます。また、一般的な病院ではあまり行ないませんが脳細胞の働きを見るために、脳の電気活動により生じる磁場を測定する脳磁図や、脳細胞の活動具合を画像化するPET/SPECT検査を行うことがあります。ただ、こちらは非常にに大がかりな検査になるため一般的ではありません。
- X線CT(コンピュータ断層撮影)
X線を利用して、水平方向に輪切りにした体内の様子を画像化する検査です。この検査によって脳の中に腫瘍や外傷、血管の異常による傷があるかどうかわかります。
- MRI(核磁気共鳴画像法)
磁場と電波によって、体内の様子を画像化します。X線CTではとらえにくい部分を見ることで、微細な脳の異常をとらえることができます。
- SPECT スペクト(単一光子放射断層撮影)
放射性医薬品を体内に投与し、脳・心臓・がんなどの情報を得る検査で、X線CTやMRIとは異なり、画像だけではなく、血流量などの脳の働きも見ることができるため、どの細胞が発作によって影響を受けている等の情報を得ることができます。
- PET ペット(ポジトン断層法ロ)
ポジトロン核種を体内に投与する事で、脳のエネルギー源、糖や酸素に標識を付けます。それにより、脳での糖や酸素の消費量を調べることができるため、脳がどの程度機能しているかがわかる検査です。SPECTよりも鮮明に脳の働きを知ることができます。
血液・尿検査
血液中のナトリウムやカルシウムが減少すると、けいれんが起きやすいので、血液検査を行います。と同時に、てんかんの薬を飲んでいる場合は薬の血中濃度を測定して、副作用のチェックや内服量が適切かどうかを判断します。