大きく変わる罰則規定
悪質運転で交通事故を起こした場合の罰則が、大きく変わって来てます。法制審議会の答申受けて、政府が飲酒運転や無免許運転など、悪質な運転による事故の罰則を強化することなどを盛り込んだ新法案を閣議決定しました。
名称は「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」で、病気の影響による交通事故も初めて刑罰の対象となります。
これまでは、交通事故で人を死傷させた場合、平成13年に新設された危険運転致死傷罪と、平成19年に作られた自動車運転過失致死傷罪のどちらかが適用されていました。が、危険運転致死傷罪は適用されるケースがきわめて少なく、遺族や被害者とってはやりきれない思いでした。
今後は、危険運転致死傷罪と自動車運転過失致死傷罪は新法に移行し、自動車運転過失致死傷罪は「過失運転致死傷罪」に名称を変えるようです。
なお、危険運転致死傷罪の規定を二つに分割し、
- 「致傷」であれば15年以下の懲役
- 「致死」であれば20年以下の懲役
- アルコールや薬物摂取、病気の影響などは懲役15年以下
の罰則となるようです。
病気については、てんかんなどで意識を失う恐れがある場合などに限定するとしていますが、てんかんなどの病気の影響による事故を、法律で処罰の対象にするのは今回が初めてです。
新法律案の「自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気」は
- 統合失調症
- てんかん
- 再発性の失神
- 無自覚性の低血糖症
- そううつ病
- 重度の眠気を呈する睡眠障害
となっています。
ただし、患者団体などから強く反対する意見が出されているように、病気の人の差別などにつながらないよう、適用の範囲などを慎重に検討する必要があります。
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